松阪牛が有名になったのはブランドイメージの向上を図ったから

高級ブランド銘柄和牛と言われてすぐに名前が挙がる和牛ランキングなんてやってみたら、必ず上位にランクインすることが予想される、超有名和牛ブランドといえば「松阪牛」ではないでしょうか。あまり和牛ブランドには詳しくないという人でも、一度くらいは見聞きしたことがあると思われる松阪牛です。

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この松阪牛を有名ブランドの地位へ押し上げたのは、厳格な品質管理によるブランドイメージの構築でした。松阪牛は戦前、「全国肉用牛畜産博覧会」において名誉賞を受賞しています。その後も戦後も数々の品評会で優秀な成績を収めると、次第にブランド牛肉として認知されるようになっていきました。そのころから松阪牛は日本食肉格付協会の枝肉格付けにおいて、最上級のもののみを松阪牛として認可してきました。素牛には最高品質を維持するために、但馬牛や淡路ビーフのみを選定し、高品質の肉質を保っていたのです。

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松阪牛といえば、そのブランドは黒毛和種の未経産雌牛のことであり、ビールを飲ませたりするエピソードが取り上げられたことで有名になりました。ついにはあまりに高級ブランド牛肉として有名になりすぎてしまったばかりに、多くの偽物が出回るようになりました。中国では松坂牛や松板牛が商標登録される一方で、本家の松阪牛は登録を拒否されるという意味不明の事態まで起きることになり、これ自体が高級ブランドのイメージをさらに加速させる結果となるほどだったのです。

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極限まで高まった松阪牛のブランドイメージですが、これはひとえに厳格な品質管理によるものであったことは間違いありません。ところがその後、松阪牛は自らを規定する厳格な基準を大幅に変更することになりました。２００２年８月１９日をもって、松阪牛は単なる「三重県松阪市及びその近郊で肥育された牛」となりました。つまり肥育された地域さえ合致していれば、どんな品質の肉牛であっても松阪牛と呼べるようになったのです。